所持品検査問題

昨年,大きな話題になった問題として,裁判所における所持品検査の問題があります。
これは,刑事事件の判決の際に,被告人が暴れたことなどに端を発したものです。
この事件を受けて,各地方裁判所は,保釈中の被告人について,判決の際に所持品検査を一律で行うようになりました。
東京地方裁判所のように大きな裁判所では,被告人や一般傍聴者の区別なく,一律で,入り口で所持品検査を行っています。
これは,裁判所の施設管理権に基づくもので,裁判所という紛争を扱う公的施設では,むしろ必要な措置といえ,問題はありません。
問題なのは,刑事事件の特定累計の被告人に一律に所持品検査を行うものです。
これは,個々の裁判官が法廷で行使する法廷警察権に基づくものです。
そのため,法廷警察権を行使するためには,その具体的な必要性が認められる必要があります。
もっとも,保釈中の被告人には,例えば交通事故を起こしてしまった,粗暴的な傾向のない被告人もいるでしょうし,量刑傾向からして,ほぼ確実に執行猶予付きの判決になるような被告人もいます。
そのような被告人に対しても一律に所持品検査を行うことは,場合によっては,重大な人権侵害を引き起こす可能性もあります。
そのため,名古屋地方裁判所は,入り口ですべての入場者に所持品検査を行うようになりました。
本来は,岐阜などの比較的小さな裁判所でも同様の措置をとるべきですが,人的物的コストがかかるため,安易に導入できないという実情もあるようです。

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