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弁護士法人心 岐阜法律事務所

不倫慰謝料請求の際に作成される書類

  • 文責:所長 弁護士 古田裕佳
  • 最終更新日:2025年7月3日

1 実務では交渉成立後に示談書を作成する

不倫慰謝料請求の交渉が成立した場合、実務においては必ずと言っていいほど、合意した内容を書面化するために示談書を作成します。

口約束だけでは、後に合意内容を巡るトラブルが発生してしまう可能性がるためです。

示談書には、両者が合意した内容を詳細かつ明確に記載し、署名と押印もします。

以下、示談書に記載すべき重要な事項について、詳しく説明します。

2 不貞行為の存在を確認する旨

示談書には、まず不貞行為が存在したことを明確に記載します。

不貞行為は、不倫慰謝料の発生原因となる事実であるため、後になって不貞行為の存在を争われることを防止する必要があります。

一般的には、加害者側による不貞行為があったことを両者が認めるという趣旨の条項を入れます。

これにより、不倫慰謝料の支払い義務の根拠が明確になります。

3 不倫慰謝料金額、支払期限、および支払方法

示談書には、不倫慰謝料請求の中核である、慰謝料の金額、支払期限、支払い方法(現金手渡しとするか銀行振り込みか、および一括支払いか分割払いか)を明記します。

特に分割払いとする場合、毎月の支払日と金額も詳細に定める必要があります。

また、支払いが遅れた場合の遅延損害金や、期限の利益喪失条項(一定期間滞納があったときに残額一括請求ができる条項)を記載するのが一般的です。

4 慰謝料の支払いに関する事項以外の順守事項

慰謝料支払いに加え、加害者同士が以後接触しないことや、当事者全員が守秘義務を負うことなどを定めることもあります。

不倫関係の清算と同時に、これも今後のトラブルを防止するための措置です。

違反した場合には違約金を定めるケースもあり、当事者間の抑止力となります。

こうした付帯義務も、きちんと示談書に明記しておくことが重要です。

5 不倫相手が求償権を放棄する旨

不倫相手に対して不倫慰謝料を請求する場合、求償権を放棄する旨についても記載されることがあります。

不倫慰謝料は、不倫をした配偶者と不倫相手いずれに対しても全額の支払いを請求することができます(ただし、支払いを受けた金額が不倫慰謝料の金額に達した場合、それ以上の請求はできません。)。

不倫相手が支払った慰謝料のうち、不倫相手の責任割合を超えた部分については、不倫をした配偶者に対して支払いを求めることができます。

これを、求償権の行使といいます。

仮に不倫をした配偶者と不倫相手との責任割合が50:50であり、不倫相手が不倫慰謝料全額を支払った場合、そのままでは不倫をした配偶者に対して半分を支払うよう請求がなされてしまいます。

仮に離婚をせず、不倫をした配偶者と生計が同一である場合、実質的には不倫慰謝料の半額しか支払いを受けられないことになってしまいます。

予め求償権を放棄してもらうことで、このような状況に陥ることを回避できます。

6 清算条項

不倫慰謝料の請求に限らず、民事上の和解をする場合には、示談書の最後に清算条項を設けることが多いです。

具体的には、問題となっている不倫に関して、示談書に定めた事項以外に、互いに一切の債権債務が存在しないことを確認するという内容の条項です。

清算条項があることで、示談書締結後に追加で慰謝料を請求されることを防止することができます。

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