高次脳機能障害における看護と賠償
1 高次脳機能障害と看護の必要性
⑴ 高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは、脳に損傷を受け、脳の組織が損傷を受けるなどして生じる障害のことです。
高次脳機能障害の症状は、症状は多岐にわたっており、外側からは見えにくいところがあり、周囲の人の気づきが遅い場合もあります。
⑵ 介護が必要なケース
高次脳機能障害は、症状が多岐にわたるため、症状によっては、介護が必要なケースがあります。
例えば、「記憶障害」「注意機能障害」「運動障害」等。
これらの症状が認められる場合、本人のみでは日常生活に支障を来すことがあり、常時または随時、介護が必要となります。
2 介護と賠償
介護の必要性があったからと言って、通常、家族が仕事を辞めるわけにはいきません。
補償(賠償)がなければ、生活をしていかなければなりませんので、生活費を稼ぐ必要があるからです。
そこで、介護の必要性が認められ、介護費用などが賠償されれば、家族も安心して介護を行うことができます。
3 高次脳機能障害で介護が必要とされる後遺障害等級
将来的な介護費用が認められるためには、高次脳機能障害による症状が、後遺障害等級1級(常時介護)か2級(随時介護)に該当・認定される必要があります。
1級1号は、「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」と定められています。
2級1号は、「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」と定められています。
これらの等級が認定された場合、原則として、将来における付添看護費用が認められることとなります。
4 後遺障害等級3級以下の場合はどうなるのか
⑴ 原則認められない
将来介護費用が認められるのは、原則として、後遺障害1級ないし2級の場合とされており、3級以下の場合は認められていません。
なぜなら、3級以下の場合、日常的な動作は本人だけでも可能であるから、介護を要しないと考えられているためです。
⑵ 認められるケース
過去の裁判例において、将来的に見守りや声かけによる指示が随時必要であると判断されたケースや、被害者が不穏となることがあったため家族が付き添い安定させることが必要と判断されたケースなど、介護費用が認められたケースもあります。
将来介護の必要性は、日常生活を送るのにどのような支障が生じているのか、介護がなければどのような支障が生じるのか、他者加害などの危険を防止するためにどのような措置が必要であるのか、など具体的に必要性を主張していくことが求められます。
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