自己破産における専門家の役割1
自己破産とは,裁判所に申し立てて借金をゼロにする手続きのことです。
そして自己破産をする人の多くは,弁護士(もしくは司法書士)に依頼しています。
自己破産では,任意整理のように弁護士が貸金業者と交渉する訳ではありません。
また,過払い金が発生していなければ,弁護士が裁判を起こして回収する必要もありません。
では,なぜ自己破産の手続きに弁護士が必要なのでしょうか。
それは,単純に「破産させてください」,「免責してください」と裁判所にお願いするだけで許されるほど,自己破産という手続きは単純でないからです。
自己破産をしようと思ったら,借金を背負った経緯,借金の状況,財産の状況,家計の状況等を,裁判所に詳細かつ正確に説明する必要があります。
「生活費が足りなくて借金を作った」という理由なのに,それに見合わないほど莫大な借金があれば,借金を作った理由が他にもあるのではないかと疑われます。
また,一口に財産と言っても,不動産,自動車,預金,保険の解約返戻金,互助会等の積立金,出資金,株式,貸金等多岐にわたり,これらの価値を正確に評価しなければなりません。
いい加減に報告すると,財産を隠しているのではないかと疑われるかもしれません。
また,大雑把な家計の状況や浪費だらけの家計の状況を提出すれば,裁判所は免責に対して慎重になるでしょう。
つまり,自己破産では,その人が置かれている状況を漏れなく正確に説明する必要があるわけで,法律の素人が自分で全部行うにはかなりハードルが高いのです。
そこで,弁護士が客観的な視点で状況を整理して把握することにより,よりスムーズな手続きの進行が期待できるのです。